商品説明
俳句を折り込んで、独特のユーモアがますます冴える
川添神父のエッセイ集。第二弾。
メガネをふきふき浜を上がると、
ぢんぢ(お爺さん)が何かを持って道端で待っている。
人を待つことに慣れている彼は、
ずいぶん前から待っていたのかもしれない。
「荷物にはなりまっせんけん、これを持ってお帰りまっせ」
新聞紙に包んだおみやげはアオサで、
リュックサックにしまい込むにはおしいような香りがしていた。
鶯が前をはぶいてケキョケキョと鳴く。
「ぢんぢさん、また来ます」
老人は深々と頭を下げただけで、何も答えなかった。