商品説明
昭和21年末、ついに病褥に伏した永井隆が神の御摂理により“倒れてのち始む”こととなった「文筆」は、
単に生業としてだけではなく、荒れ野と化した浦上の、長崎の復興に大きく寄与すべく授かったものでもあった。
本書刊行に関する資料・情報が乏しく、その経緯詳細等は不明。隆にとっては、自身の著作にはあたらないものだが、
「その名の記された書籍」という形となって世に出たものは本書が初であり、その後、短いながらも
一時代を築く人気作家となった隆の「根源」の一端を知ることの出来る作品といえる。
以降、如己堂にて著述を重ね、いよいよ遺作となった「乙女峠」が、
本書同様カトリックの信仰に生きた人々の物語であったことは、果たして偶然か否か。
ともあれ、67年のときを経て再び世に送り出されることとなった本書が、新たな意義・価値をもって迎えられることを望む。
あとがき 永井徳三郎